夜と海

百合漫画
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夜と海1巻の表紙
色々な事に無関心で、独特な女子高生2人のお話です。

自分自身の事も理解出来ていないような2人ですが、なんだかフラットで読んでいて心地の良い漫画です。

淡々としてはいますが、どことなくシュールな笑いだったり、よく見るとほんのり赤面していたりとじんわり穏やかに話が進んでいくような漫画です!

作品情報

作者郷本
出版社芳文社  ラバココミックス
発売日2018/8/9~
巻数2巻(2019/12現在)
ジャンル日常、青春

発売形式・試し読み

百合目安

百合度★★☆直接的ではありませんが雰囲気があります
男性★☆☆サブ程度、先生が時々登場します
性描写☆☆☆現時点では特にありません

 

あらすじ

「夜と海 1巻」より引用

色々なことに無関心な女子高生、夜野月子はプールで泳ぐ内海に興味を持ってしまう。

内海に泳ぐところを見たいと告げると、放課後1人しかいないプールで自由に泳ぐ内海を眺めるだけの関係になる。

内海も社交的ではあるものの泳ぐ事以外には関心が薄く考えた事がすぐに口に出る性格のため、2人はいつのまにか一緒に行動するようになる。

主要人物

夜野月子

帰宅部
帰国子女の美少女
達観しているようなクールな雰囲気
優等生

 

内海彩

水泳部
泳ぐこと、水の中にしか興味がない
夜野のことは吸血鬼や人形みたいだと思っている

見どころ

水の描写、背景の描写が綺麗で独特の雰囲気にマッチしていて美しい漫画です。

それから、自分の感情に鈍感な2人を描いているので読み解くような楽しさがあります。

 

感想とまとめ

※ここからネタバレが含まれます。

読んだ後の感想は「スゴイなぁ」でした。語彙力のカケラもありませんね。

何がスゴイってのを説明していきましょうね。

「夜と海」のココがスゴイ。その1

1つ目は、漫画で出来る表現を最大限に活用して、複雑な女の子達の細かい感情の起伏を描いているんです。

何よりも特徴的なのは背景の描写です。

まずは水。そして魚や雲、有機物以外にもトランプなどが飛んでいたりと背景がとても賑やかです。

「夜と海 1巻」より引用

 

それから、内海が夜野に(おそらく友達としての意味で)「好き」だと告げた際には波がザッパーンしてます。

また、内海と少し気まずくなったけれど気が楽だと思っている時の夜野の背景には魚の骨が泳いでいます。

 

表情が少なく、おそらく夜野本人も理解していない感情を表現する用途もあるのかもしれません。

この本人も理解していない感情というのを噛み砕くと、人に言われて分かる感情のことが近いですね。

「めっちゃ嬉しそう」って言われて初めて(あ、自分今嬉しいんだ)というような感じです。

その「めっちゃ嬉しそう」と声をかけられる変わりの背景描写なのかなーと思うんですよね。

 

そう見てみるとなんとなく絵画を見ているような感じに似ている気がしますね。これはこういった感情を現わしているのかな…というような感覚です。

 

それ以外にも、名前に由来したイメージがあるようです。

夜野月子は月やコウモリなどバンパイア風なモチーフが、内海は水や魚が特に多いです。

それから、2巻で登場する花野さんは花、東雲さんは雲が描かれていたりとキャラクターの名前に沿ったイメージがあるのでしょうね。

 

「夜と海」のココがスゴイ。その2

2つ目は、夜野と内海の2人はガチで恋愛感情が無さそうなのも「スゴイ」なんです。

恋愛漫画において(トゥンク…これが…恋?)というような描写ってよくお見かけしますが夜野と内海の2人には「恋」の1文字も浮かぶ様子を見せません。なんなら夜野は内海への執着を否定したいような感じすら見せています。

この人はなんなんだろうな?自分がこんな事を思うなんて。と各々で自分と語り合うようなシーンが多いです。

おそらく2人とも内向的なんでしょうね。

 

「夜と海」のココがスゴイ。その他

主な「スゴイ」は上記の2点ですが他にも細々としたところにスゴイが詰まっていますよ。

例えば、興味を持つとお互いに第一印象とは違うイメージを抱くのも面白いです。

夜野が思う内海
「みんな」と同じ普通の子→変わった子
内海が思う夜野
人間らしくない→案外普通の子

 

この時点で「自分とは違う人種だな」という第一印象から「案外似ているかもしれない」と言う思考に変わったのではないでしょうか?

その後、お互いに変わった人だという自覚のすり合わせがあります。

「実は変なヒトだよね」
「そんなの どうせみんな思ってることでしょ 言わないだけで」

「内海さんも変な人だって思われているじゃない」
「ええ〜やっぱそういう風に見えてんのかな…」

「夜と海 1巻 P.48-49」より引用

 

心理学的にみた恋愛では「類似性の法則」という自分と似た人を好きになる心理があります。

「似ているかも」或いは「思ったよりも自分と近い」から「お互いに変な人」という思考に変化し「類似性の法則」が働き始めたのかもしれませんね。

 

さらに2巻では「同一化」と見られる行動もありました。

まずは、そのシーンの説明から。

内海は夜野にプールに浮かぶだけでも楽しいと勧める。
夜野は最初は泳げないからと渋っていたが、不意に制服のまま飛び込む。

 

同一化」とは好きになった相手と行動などを同調させる行為です。

例えば、恋人と休日を合わせたり、お揃いのものを買ったり、同じ趣味を持つようになったりです。

 

このシーンの少し前に内海は興味がないのにも関わらず夜野に何を読んでいるのかを聞き、同調しにいきます。しかし、夜野の「興味ないでしょ」の一言で終わってしまいます。

その次の日(?)に「プール」という自分の好きなものを通じて内海が同調させようとするんですね。

そして、夜野がプールに飛び込みます。

 

いやもう、クラスメイトにあの2人できてるって言われても仕方ない。

ただ、その後は急に離れてしまいます。あぁもどかしい!

 

感情の部分

基本的に他人に無関心な夜野ですが、夜野は内海とお互いに無関心でそれが楽だと感じているためか、内海に対しての興味が浮かんでも「踏み込まなくていい」とブレーキをかけているようです。

その様子を見ていると夜野は決して感情が無いわけではなく、表現が下手なだけなのだと思います。

水面下の内海の顔に笑ったり、ほんのりと赤面したり、2巻では内海の一言で怒った表情をしたりと感情を外に出すこともあるようです。

 

対して内海は思ったことをハッキリと言う割には喜怒哀楽の起伏の幅が少ないように思います。

悦か不快か。のような感じですね。

 

そんな感じなので2人とも分からない感情が多いようです。

例えば下記は2巻で内海が夜野が泳いでいる姿を見てみたいと言った後に考えたことです。

(見てみたいなんてそんな風に思ったことあったっけ?)

(ふしぎなこともあるもんだ)

「夜と海 2巻 P.36」より

 

それから下記はプールに飛び込んだ後の夜野の考えです。

(一緒にいるとなんだかよく分からなくなってしまう)

「夜と海 2巻 P.58」より

 

前述した「同一化」をする前の内海、「同一化」した後の夜野の気持ちですね。

客観的に見たらそりゃ好意を持っているからだろうね。というシンプルな答えが出ますがそうともいかないのが思春期の思考ってもんですね。もどかしい!もどかしさが楽しい!

 

2巻についてほんのり

夜と海2巻の表紙

 

2巻では1巻で軽く登場したクラスメイトの心情も描かれています。

自分の経験を踏まえて客観的に見た2人の姿が見れます。

夜野は内海に対して友達未満な対応ですがそんな2人を見て恋愛体質なクラスメイトは「できている」と発言したり「うらやましい」と思っているようです。

 

そして2巻の夜野と内海は感情がかなり揺れます。

夜野が怒ったり、夜野が何に怒っているのか分からない内海だったりと、こちらも分からないままに揺さぶられているような感覚でもどかしさを感じさせます。

 

片思いを隠しているわけでもなく本気で「この感情」というものが分からない2人の気持ちが描かれているので、読者は主人公たちに気持ちが寄り添うというよりも観客として楽しむというイメージが強いですね。

 

漫画で出来る表現を最大限に活かして細かい起伏を描いています。

百合的にはガチで恋愛感情が分からないような2人なのでイチャコラを楽しんで悶えると言うよりも、これからどうなることやらと親戚のおばちゃんの気持ちで見守りたい漫画です!

 

こんな人にオススメ

  • 絵の綺麗な百合が読みたい
  • 感情の細かい起伏を発見して悶えたい
  • イチャコラだけが百合ではない
  • 淡白なクールキャラが好き

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